2013-03-12

プロデューサーインタビュー!@ARTch〜山田愛さん〜



みなさん、よるばんは!
来る3月16日(土)は、『ARTch!持ちれと誰が言ったが開催されます。
イベント参加はこちらから。http://atnd.org/events/37651

このARTchのプロデューサーである、
精華大学デザイン学部、3回生、べらさんこと、山田愛さんにインタビューに行ってきました。
山田さんの芸術に対する世界観、そしてARTchに込めた想い、どうぞお楽しみください。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ * ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
―自己紹介
 精華大学デザイン学部、ビジュアルデザイン学科、グラフィックデザインコースに通っていて、春から4回生です。この学科では、ポスターパッケージなどの商業デザインを学んでいます。けれども、いま、力を入れてやっていることは、グラフィックデザインだけでなく芸術とかARTの場づくりアートプロデュースここ1年半 やっています。“芸術の場づくり”をしている人として認識してもらえていたら嬉しいですね
 
――芸術に興味をもったきっかけ
小学校のころから美術館行くことが日常にあって始めは親に連れられて美術館に行っていました。そのころはそれこそゴッホやルノワールとか『 the 芸術 』って感じの作品をていました。そういうところから芸術の世界に魅了されていって、小学校4年生の時に大阪の美術館で『田中一光』という、グラフィックデザインの巨匠の回顧展に行ったんです。ポスター展なんで、大きなポスターがざーーっと並んでいる展覧会なんですけど、その作品のビジュアルがいままで見ていた絵画とかと全然違っていたんです。けっこう厚みのあるゴッホとかの作品とは違っていて、表面のイメージだけでいうと平面的で、日本の香りもする作品なんですよ。当時、そのギャップに刺激されて、このヒトの表現めっちゃ かっこいいなって思ったんです。すごい衝撃を受けたもので、自分もこんな人を刺激させる表現者になりたいって思いました。そしてその人の肩書を調べたら、グラフィックデザイナーだったんです、たまたま。じゃあそれになろうって、ふわっとですけど思い始めましたそんな状態で、中学高校と過ごして、大学進学の際に、デザイン科っていうのは、『田中一光=デザイン』というのは決まっていて、同じ動機でグラフィックデザインも選びました。今思うと、あまりに安直ですね。笑

――さんにとっての芸術とデザイン
授業中でも、気が付いたら絵を描いていたり、ものを作っている人って、いるじゃないですか。でもそういう感覚が私自身にはなくて。だけど、昔から美術館ギャラリーに行くのが、めちゃくちゃ好きでした観ることとか、作品を感じることが極端に好きで。自分の好みの作風とか勿論あるんですけど、それだけではなくて、いわゆる芸術って言われているものだったら見たい、っていう好奇心があります。一つの種類の芸術作品だけではなく、 いろんなタイプの芸術作品があってこそ、芸術の良さを感じます。そういう意味で、多種多様な作品を、いろんなところに生み出していきたいな、って思っています。芸術をデザインする人間になりたいです。いわゆるものづくりしているとは、捉えづらい立場にはなるんですけど、芸術の集まる空間を作っているって意味では、絵を描いたり、彫刻をしていなくても作品を作っていることにはならないかなぁ…って思います。

 ―芸術の場づくりをはじめたきかっけー
大学2回生の時に、アート・デザイン系の雑誌ビジュアルを作るという課題が出ました。その時に、実際に自分が紹介したい作家のアートワークを表紙に使おうと考えました。それまでギャラリーで見つけていた面白い作家さんにお声かけさせてもらいました。Webサイトなどから声をかけたのですが、学生の課題だということもあるのでしょうが、「使っていいよ」と言ってくださる方が大半でした。逆に喜んでくださる作家さんもいて、とても嬉しかったです。12人の作家さんにご協力いただいて作品ができたことは、今でも嬉しい想い出の1つです。それまで誰かの作品をデザインしたことがなかったのですが、そのときデザインするって、すごい楽しいなって感じました。だけど、作家さんの作品のコンセプトや、作品の表面からは見えない、その奥のことを知らないと、本当にその人の絵をデザインすることはできないんだ、と考え出しました。絵と文字を並べるだけのものはデザインじゃないなって、思い悩みました。そこから作家さんの作っている動機などが気になりだして、自分も一回誰かの展示会してみたいなって思い始めて、それがきっかけだったと思います。

――場づくりの流れ
だけど、どこから始めたらいいのか、すごい悩んでいました。全然やったことなかったから、とにかく色んな人に聞きにまわったり、自分のしたいことや思いを、言葉にしてみたりしていました。そしたら、それを見ていてくれた人がおもしろがってくれて。私もやりたいって言ってくれたのがちらほら出てきて、その人たちと『Yah!』という名のartproduce団体を作りました。団体を作ってから、少しずつ活動を始めました。

その団体ではじめは、展示をキュレーションしたり、アーティストさんのライブグッズを作らせてもらったり、場はすでに用意してもらって活動していました。自分が一から起こしたプロジェクトは、昨年の夏に、アーティストと企業を掛け合わせて商品を作るという企画でした。
私がその時考えていたのは、京都はもともと文化や芸術の根強い場所で、美大生だけでなくとも、芸術を学ぶ場が沢山あります。芸術を生む場なのです。京都は芸術都市として育っていく場だと思い、芸術家と伝統技術による商品展開をしました。「京都の新しいお土産」というコンセプトで、京都の伝統産業4社と作家さん4人と、商品制作をしました。

・西陣の綴れ織りのブックカバー(作家×織物屋)
・作家さんのペイントの入った石の置物(作家×石屋)
・作家さんがデザインした砂糖菓子(作家×和菓子屋)
・染色作家の作品の布を使ったがまぐちバック(作家×リメイク屋)

これらを、実際に新風館で1か月商品として販売させていただきました。

――そこからの葛藤
できあがった商品は、すごく素敵なものになったと思います。だけど、この活動を、特に商品を作ったことを、自分のなかでどんどん整理できなくなってきたんです。商品作 ることで芸術を広めてることになると、はじめは思っていました。しかし、客観的に見た時に、私が生んだものは芸術ではなく、オシャレな雑貨を作っただけなんじゃないかと考えるようになりました。作家さんがもともと作っている作品はまぎれもなく芸術なんです。だけど、私が、介入したことで、芸術でないものが 出来てしまったのではないかと思えて。自分の活動は、見方によっては、芸術の場を作ることにもなるけど、でも逆に芸術の存在や、在り処を、ある意味消している活動になるなって思いました。今でも全然整理できていませんけれど私は美術館の外でも芸術って思えるものがあったらいいなって思っています。美術館は作品としての存在を守る場でもあります。そのような空間ではないところに作品を置いたときにも、芸術作品として成立させるのはかなり難しいことだと感じます。 そんな事を思い悩み、活動ができない時期が3ヶ月ほどありました。気持ちが沈んでいた時だからこそ、美術館やギャラリーには今まで以上に足を運ぶことが増 えました。また、そんな時にも、今まで一緒に活動していたメンバーや、支えてくださっていた方々、応援してくれてた人たちが声をかけてくださって、また前 を向いて進める気がしてきました。守られた環境でなくとも、芸術作品を芸術だと思える場作りをしていこうと、今は強く思います。

――ARTchに込めた想い
表現者同士やその他の人とのコミュニティーを作りたいという思いから企画を始めました。普段大学で感じることですが、他分野との交流がほとんどないんです。 また、美術系大学が4校もあるのに、その間でも交流が薄くて…全然違う表現でも、結局伝えたいこととか表現 したいこととかは同じじゃないのかな、とも思ったり。ただ見せ方が違うだ けで。自分の世界を確立するためには、まわりを見ないと絶対自分も見えてこないなってすごく思います。私自身、すごく引っ込み思案で、人と交わることが苦 手なタイプだからこそ、思うことなんです。芸術分野を越えて交流できれば、それもいいと思います。それこそ、学生ヨル会議さんは色んな分野の方がいて面白いですよね。馴れ合いや、群れ合いじゃなく、あくまでも個人の表現の幅を広めたり、深めるためにコミュニティーをつくりたいです。あと純粋に、これからの芸術を作っていくであろう人たちに出逢いたいです。
もうひとつ、商品製作をしていた時に、感じたことなんですが、芸術家や表現者の力を必要としている人は多くいると感じています。作り手とそうでない人が出逢い、新たなものが生まれることに魅力を感じます。両者が出逢い、新たなものを生み出すためにどうすればいいのか、また芸術としても存在を失わないためどうすればいいのか。イベント当日にトークでこれらの事について話をしたいと思っています。また、解決のための一歩になるであろう企画を提案したいと思っています。まず聞いてもらえると嬉しいです。当日参加される方にとっても、参加する作家にとっても、関わっている全てのスタッフにとっても、いいイベントにしたいです。


  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ * ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

Interviewer:上田菜津美 
Editor:学生ヨル会議取材部



【 学生ヨル会議 Facebookページ 】 http://www.facebook.com/yorukaigi