2013-02-03

参加者インタビュー@医療ch  立命館大学薬学部3年 福井彩香さん




今回は昨年10月の医療chに参加者として来てくださった
立命館大学3福井彩香さんにお話を伺ってきました。
Ust放送後の質疑応答では積極的に発言をしていました。
さてさて、今回はどのような話が聞けるのでしょうか?


   先日の医療chにお越しいただいてありがとうございます。あの際、けっこう質問されてましたよね。実家が田舎にあるということなのですが、どのようなところなんですか?
 
実家は三重県と滋賀県の境目にある鈴鹿山脈の麓の滋賀県東近江市の旧永源寺地区というところにあります。
学校への登下校中に鹿や猿とよく遭遇するような山奥で、いわゆる限界集落と呼ばれるような地域です。私の地元は平均年齢が80歳なんじゃないかというくらい、とにかく高齢化が進んでいるんですが、小学校という場所が地域の人どうしが発信しあう場でした。
 今思うととても貴重な経験なんですが、小学校ではうさぎを飼う代わりにイワナ(川魚の一種)を飼育していました。しかも、イワナの人工授精を行い育て、川への放流や飼育したイワナを頂く、という命の循環を身を持って学んでいましたね。また、小学校には畑や茶園もありました。茶摘みのときや収穫祭の時には、地域の方々を招き、お茶の摘み方から日本・地域の伝統まで様々なことを教えていただくと同時に、小学生ながらにその学びのまとめの発表や感謝の意を述べるなどの取り組みがありました。小学校が、地域のコミュニティの場ともなっていたんですね。
しかしながら、その時通っていた小学校では同級生は5人しかおらず、数年前にその小学校は廃校になってしまいました。また、中学校は私が入学した時に統合されています。
極端に少ない人数での学びも厳しい面もあり。廃校も致し方ない点もありますが、廃校により、実体験での学びの場、また地域の高齢者の方々にとっても生きがいでもあった、そんな地域コミニュティの場がなくなったことに寂しさと同時に、非常に危機感を覚えます。


――なぜ薬学部に入られたんですか?

おおきく2つの理由があります。
実は私、入院していたことがあるんです。
摂食障害に2回もかかり、その時は今と同じ身長で体重は30kgほどでした。
精神科病棟で入院していたのですが、そこで入院しているときに、いろんな患者さんと出会ったんです。中でも、てんかんという病を患った3歳の男の子が何度も入退院を繰り返したり、何度も倒れたりしているのを見て、何とかならないかと思うようになり、そういう現場で働きたいと思うようになりました。これが1つ目の理由です。
それから、もう一つの理由として、私は科学が好きなんです。自然あふれる地元で、多くの生物に触れたり、人数が少ない分実験とかもできたりと環境的にも恵まれていたのだとおもいます。しかしながら、入院していたので、義務教育を2年間受けていません。歴史をまともに勉強したのは高校生が初めてで()。でも、入院を言い訳にしたくなかったので定期試験は頑張って、推薦で立命館守山高校に進むことができました。部活動をがんばる一方で、当時SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている高校であったこともあり、多くの実験ができるだけでなく様々な研修に参加できました。本当に有意義な時間を過ごすことができ、科学への興味関心もより一層深まりました。
それで、大学に入るときに医療と科学に興味があったので薬学部を選びました





――高校時代に何か部活をやられていたんですか?

バトントワリングをやっていました。
バトンを一目見て綺麗だと惹かれちゃいました。もともと舞台演劇が好きで、表現するのが好きなんです。病気のこともあり運動音痴で最初はかなり苦労したのですが、先生・コーチ・先輩がたの時に厳しくも暖かい指導、本当に大切な同期メンバー、時に学ぶべき存在でもある後輩達、かけがえのない時間を過ごすことができました。
私はプレゼンテーションも好きなのですが、これはバトンともつながっていると感じています。スピーチ形式に近いようなプレゼンのときはなにか一つのスポットに入る、ちょっと演じるぐらいの気持ちで行ったほうが、自分自身が明るくスムースな発表ができるのですよね。また、高校でもプレゼンをする機会が多々あったのですが、プレゼンテーションを聞いたら、質問するのが礼儀だと教わりましたし、ただ聞くだけでなく本当なのかと疑ったり、またその人の発表ポイントと自分の知識をリンクさせるという行為は自分の勉強になると感じています。また講義中とかたとえ、自分が当てられていなくても、考えているとそれだけで勉強になります。
また、小学校は同級生が5人しかいなかったので、授業中に誰もが発言するような環境で、いかに早く発言するかを考えていましたね(笑)。日本人はシャイなイメージですが、私は小学校でかなり発言力を鍛えられました(笑)。
また高校生時代、実家から最寄駅までの車で40分の移動も、父とひたすら話していました。
今思えば、それもいいアウトプットの練習になっていましたね。
高校生のときのほうが学校教育とかニュースのこととか様々なトピックに関して意見交換していましたね。今は一人暮らしでアウトプットする場が足りなくて焦っています。


――大学ではどんなことをやっていらっしゃるんですか?

今年は英語に力を入れています
英語のプレゼンテーションをする授業や後輩の英語の授業の補助として授業に参加したり、英語のコミュニケーションルームに行って外国人の先生と話をしたりして英語に力を入れています。また、立命館大学には自主ゼミという自分たちで作るゼミがあります。今学期から生命科学部・薬学部の学生を中心とした英語の自主ゼミも行い、スピーキングを中心にある論題に対する意見を考えるなど、英語力+αの活動を行っています。とてもやる気のある人が集まっているのでいい刺激になっています。また、英語を通じ文系のひととも交流することがあります。総合大学なのでいろんな人と知り合えるのがよかったなと感じています。
また、現在日本薬学生連盟という団体で、2012年度関西の副支部長及び、来年の8月末に行われるアジア太平洋地区の薬学生が集うシンポジウム後の、海外の薬学生向け日本ツアーの企画代表として活動させていただいております。このツアー運営では、日本に来る外国人もそうですが、日本人も外国人に紹介するのに改めて日本を勉強するいい機会になればと思っています。もちろん、共通言語は英語なのでこれに向けてより一層英語力強化にも努めていきたいと考えています。


――なぜ薬学部で普段の勉強も忙しいのにそこまで英語に力を入れているんですか?

日本薬学生連盟の活動で、海外の薬学生と接していくうちに英語で表現したくてもできない自分がもどかしさを感じたんです。
コンテンツがあってもデバイスがなければ意味がないと痛感しました。
例えば、イランの友達とFBで悩み相談した時にとてももどかしい思いをしました。
IPSF(国際薬学生連盟)世界会議開催のエジプトにて



――活動のきっかけはなんですか?


先輩がやっていたのを知ってとりあえず入ったんですが、当初は何もしていませんでした。今年の春に海外の薬学生向けの日本観光ツアーにスタッフとして参加して、そこで楽しさを知り、関西でももっといろいろやりたいと思うようになり、日本薬学生連盟の関西副支部長に、また日本の魅力を知ってもらいたい、国際関係の活動をもっと積極的にやりたいと思いツアーのリーダとなりました。
それから、立命館には「やくけんRという医療系の団体があります。
今はほとんどOGという立場で活動していますが、後輩が頑張っていて、応援しています。医療分野全般に関して、自分の興味関心を中心にインタビューなどの実践の場も通し学びそれを学園祭などを中心に発表しています。とっても積極性のある後輩達で、自分自身の刺激にもなります。また、やくけんRを通じて学年を超えたつながりができたのも非常にいいことだと感じています。


――これからはどうしていきたいですか?

最終的には地元を活性化したいです。しかし、具体的にどのような方法で・いつというのはまだまだ未定です。
田舎ですが地元が私にとってのターニングポイントです。
それから、サイエンス好きで、臨床が好き。いろんなところに見に行きたいです。
私の2012年のテーマは「薬学の世界を知る」なんです。
研究室にまだ配属されていないのに、夏休みから、自分から研究室に入って実験やらせてもらっていたり、さまざまなイベントやセミナーに参加したりもしていて薬学生という窓口でいろんなことを見ています。
今年、1年好きなことをやって、それを基に将来を見据えたいです。


――福井さんの中でこの人、素敵だなと思う人の基準はなんですか?

自分をちゃんと持っている人、意見を持ってる人ですね。
やってる「こと」よりもやってることに対する「意識」が大事だと思います。
たとえバイトでも遊びでもちゃんと目的を持ってやっている人は素敵だと感じます。もちろん、自己管理ができたうえでのことですが。
いくら、肩書的にすごいことやっていてもただ単にやらさているだけの人や、能力があってもそれから努力しようとしていない人は面白くない、魅力を感じません。
それよりも、小さなことでもがんばっている人、今は出来ていなくても応援しようと思いますし魅力を感じます。
また、小さな気づきや日々流されていないことも重要だと思います。
夏休みに日本を案内していたイラン人に電車の中で、なんで日本人はこんなに暗い顔をしているのかと言われたんですね。
イラン人は生きるのだけで精一杯だけど、日本人は簡単に生きることができるのになんでこんなに暗いの?悲しそうな顔をしているの?と言われ、とても考えさせられました。
ちゃんと目的をもって、でもちゃんと日常の些細な大切なことを忘れない、そんな人をみると素敵だなと思います。

――では、最後に・・・・ヨル会議で、もし福井さんがプロデューサーをやるとしたらどんな番組を作りたいですか?

ただ単に医療じゃ面白くないですね。
山間地域、田舎の現状とかについてやってみたいです。
みなさんの思い描く田舎と、実際の田舎ってけっこうギャップがあると思うんです。
私が地元の良さを感じたのは地元を離れてからですし、外のからの視点は大事だと思うんです。

教育とか産業とかさまざまなことを、田舎の外からの視点と中からの視点でディスカッションしてみたいです。
アンチ田舎派とと田舎派でも面白いですね。
一方だけの視点だとつまらないです。ディスカッションがしたいですね。

――もし、論者を呼ぶならどんな人を呼びたいですか? 
田舎で活動してる人+いろんな学生でしょうか。
前段階でディスカッションした上で会場を巻き込みながら、様々なバックグラウンドを生かし、みんなで作り上げるヨル会議をやりたいです。考えるだけでわくわくしちゃいますね。



福井さんのインタビューいかがだったでしょうか?
薬学部の学生として、薬学や医療だけでなく幅広い視野を持つ福井さん。
インタビューをしていて、とてもしっかりとした考えをお持ちでであると感じました。
プレゼンテーションや薬学生としての活動など今後の活躍に期待です。


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Interviewer:上田菜津美/阿部誠也
Editor:学生ヨル会議取材部


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